塾業界コラム

一流講師の条件とは<私塾界調べ>

勝ち残る塾の5つのキーワード

8月25日、学校法人高宮学園が代々木ゼミナールの縮小を発表し、社会に衝撃が走りました。少子化による受験者数の低下、大学全入時代がもたらした浪人生の減少……。2018年から大学進学率が頭打ちになり、18歳の人口は下降の一途に。2031年までの33年間で大学進学者数は17万人も減り、私立大学の倒産が起きてくるのではという危険ラインに突入します。この〝2018年問題〞は予備校だけの問題ではありません。どんな塾が勝ち残っていくのか、山田社長が語ります。

迫る2018年問題

代ゼミの規模縮小の報道では、“代ゼミのひとり負け”などという言い方もされていますが、浪人生も減り、予備校事業に明るい未来はないと判断して首都圏の中学受験でNo.1の実績を誇るSAPIXを買収するなど、高宮学園は5年ほど前から改革を行っていました。私個人の考えですが、かつての成功事例にこだわらず、次への布石を打った、大きな事業転換に向けたうまい一手だと思います。

“明るい未来がない”とはおおげさだと思うかもしれませんが、予備校は日本の大学制度が大きく変わるかもしれないと言われている2018年を機に、さらに淘汰が進むでしょう。予備校が変わると、その影響はもちろん下の学齢にも派生していきますから、塾もその影響を受けることは必至です。この先、経営的にますます厳しさを増す中で、どんな塾が勝ち残るのか。そのヒントとして、私が実際にいろんな塾を見る中で、近年“ここは元気だな”と感じたところには5つの共通点があるように思えます。

キーワード1 新規事業の開発
キーワード2 経営・事業の分業化
キーワード3 講師の“人間力”を育てる研修
キーワード4 保護者と連携した“家庭教育”の領域
キーワード5 公教育との連携

新規事業と分業化。元気の理由は「任せる力」

ひとつめは、新規事業の開発力があることです。どんな事業も同じことを何年もやり続けていくことはできません。衰退するビジネスモデルに代わる次の事業を、いかにすばやく軌道に乗せるかが求められます。中でも、将来を見越して学童やインターナショナルスクール、そろばんや書道など、低学年や幼児を対象とした分野を広げている会社は、やはり勢いを感じるところが多いです。

ふたつめは経営・事業の分業化。たとえば個別指導でいうと、集団指導がメインで、空き時間や教室利用で個別指導を行っているところが多いのですが、きっちり校舎も講師も分けているところの方が、成功しています。いわゆる経営の分業化ですね。そのいい例がR会さんでしょうか。事業部ごとにセグメントを分け、若手の幹部たちが“この会社だからこそ実現できるビジョン”というものに誇りを持って切磋琢磨している印象を受けました。どの事業にも言えることですが、そこに100%の力を注ぐリーダーがいないと、事業はほぼ失敗するように思います。そのためには、トップがすべてを判断して決めるのではなく、部門ごとにリーダーを立てて、予算や人員配置などの重要な権限をすべて任せているかどうかが大きな鍵になります。

加えて、現場の分業もできているところは強いですね。今、塾・教室ではターゲットの低年齢化が進んでいますが、幼児は席にじっと座っていられませんし、集中できる時間も短い。子どもの扱いに慣れていない若い講師だと、指導にとまどうケースもあります。そこで、子どもの扱いに長けているお母さんたちを先生としてうまく活用するのです。学研教室がまさにそうですね。近年、こうした塾が増えてきたように思います。この他、保護者の対応に専任のカウンセラーを置くなど、業務内容の分業がうまくいっている塾は、軒並み元気な印象を受けますね。

保護者の目は勉強以外にも向き始めている

3つめは、講師の“人間力”を育てる研修です。入試も、考える力や応用力をみる問題が増えてきています。これらの問題には、単なる知識の教え込みは通用しません。生徒一人ひとりの考え方を深められるような指導が求められており、授業力だけではなく、生徒のやる気を引き出す人間力なども問われます。そういった流れに対応すべく、コーチングやコミュニケーションの研修に力を入れている塾が増えたように見受けられます。

最近、個人でやっているような小さい塾が伸びている理由も、そうした授業力以外の部分にあるように思います。それが4つめの保護者と連携した“家庭教育”の領域へのアプローチです。共働きや核家族が増え、更に地域社会での子育てという概念も減っていますので、子どもの悩みを相談する相手が身近にいない。挨拶やしつけなど一緒に“子育て”を手伝ってくれる存在がほしい。それに応えているのが“個人塾”というわけです。

今後は、そういったコミュニケーションや生活態度をも育むサービスの充実度が大きな付加価値となっていくでしょう。塾に求められる役割が広がっていくのをひしひしと感じます。

加速する公教育との連携 自信のある塾はノウハウを公開!?

5つめは、公教育との連携です。今、ますます公教育と民間教育の連携が進んでいます。塾に通えない世帯の子どもを、自治体が予算を割いて公設民営型の塾に通わせる。そうしたことが各地で始まっていますね。一度公教育とつながりができれば、また新たな事業に成長する可能性もありますので、積極的に関わりを持っていくべきだと思います。

最後にひとつ、今後の塾を左右すると私個人がにらんでいるのは、塾のメソッドやノウハウを公開するという、情報のオープン化です。これは、これまでの教育サービス業界にはかなりアレルギーがあると思うのですが、食品業界の例でもわかる通り、社会全体がオープンにしないことに対して“悪”という風潮になってきています。6月30日に文部科学省と経済産業省が塾で実際にかかる全費用の公開を促す指針を発表したように、教育業界にも、情報公開の流れはここ5年ほどで確実にくると思っていいでしょう。皆さんもご存じの通り、教育はただノウハウを知ったからといって、同じ教育が真似できるわけではありません。ですから、自信のある塾ほど公開した方がいいのです。公開した上で、また次のものを開発する。そのくらい強気で早いサイクルを回す塾が勝ち残っていくのではないでしょうか。

文責:私塾界/全国私塾情報センター 代表取締役社長 山田未知之

プロフィール

山田未知之氏

山田未知之(やまだみちゆき)

私塾界/全国私塾情報センター 代表取締役社長

1977年、埼玉県生まれ。30年超の歴史を誇る塾業界のトップ専門誌『月刊私塾界』を発行する、株式会社私塾界/全国私塾情報センターの代表取締役社長。同誌を創刊した亡父・山田雄司氏の遺志を継ぎ、2012年10月より現職。民間教育のあり方や業界への想い熱く、全国約2,000社の学習塾のサポート役として、経営情報の提供や研修・セミナーを開催している。

全国私塾情報センターオフィシャルサイト http://www.shijyukukai.jp/

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