学習マンガ 江戸のふしぎ

江戸東京博物館 市川寛明先生

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マンガ/松本麻希

市川先生の江戸解説―その1

子どもが学校に通うことがすっかり当たり前になってしまった現代、いまさら学校や学びの大切さを子どもたちに説明しようとしても案外と難しいのものです。そこで私たちの祖先がどのように教育や学校と向きあってきたのか、その長い歴史を少しばかり垣間見てみてみようと思います。

日本には古くから寺子屋とよばれる学校があり、その起源は平安時代に遡るとも考えられています。しかし、多くの子どもたちが学びを目的に寺子屋へ通うようになったのは、江戸時代からだと言われています。寺子屋の授業は、今の学校のような、先生が何人もの生徒を前に、同じ内容を一斉に教えるといった集団授業ではなく、個別教授が原則でした。寺子屋では、文字の読み書きを習うのは共通していましたが、そこで使う「往来物」と呼ばれる教科書は、一人ひとりの必要に応じて異なっていました。教える先生も、お坊さんや女の人、村で手があいた人、旅歩きをしている人など様々で、入学時期や卒業時期も決まっていません。昔の先生は厳しかったように思えますが、実はその反対で、先生が強制的に勉強させるということもなかったので、全体的におおらかな学びであったようです。このよううに今の学校とは全く違う寺子屋が、日本全国に存在していたことにより、江戸時代の人々は、外国人も驚くような識字率に達していました。

この連載では、こういった寺子屋や子どもたちの様子、当時の文化や社会の動きを通して、江戸についてお話をしていきます。子どもたちにとって歴史は、昔の出来事として、ともすれば関係ないこととして、とらえられがちです。しかし、歴史を学ぶおもしろさや意味は、ただ”昔のことを知る”ことではなく、過去と対比することで今の特質を理解したり、それをどう現代に活かすかを考えたりするところにあります。このマンガを題材に、歴史への興味と関心を育み、どうして学校や学びが必要なのか、あらためて考えてみるきっかけになればと願っています。

プロフィール

市川寛明先生
江戸東京博物館学芸員

1964年、愛知県生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。社会学博士。担当展覧会として『参勤交代』(1997年)、『大江戸 八百八町』(2003年)、『徳川将軍家』(2003年)、『新撰組』(2004年)。今年度人気を博した『坂本竜馬』展も手がける。編著に『図説 江戸の学び』(河出書房新社)、『一目でわかる江戸時代』(小学館)等。

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