学習マンガ 江戸のふしぎ

江戸東京博物館 市川寛明先生

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マンガ/松本麻希

市川先生の江戸解説―その9

今回は、江戸時代に庶民の間で大流行した川柳を挙げながら、子どもたちの一日を追ってみました。マンガを見ていただいてわかる通り、江戸の子どもたちには今の子どもたちとの共通点も多いですよね。

たとえば、「初午は まず錠前を 覚えさせ」という川柳や、「初午は 世帯の鍵の 下げ始め」という川柳があります。初午は子どもが学校に入学する時期のことです。これは、子どもが寺子屋に入るとみんな鍵を持ち始める、つまり昼間、家に人がいなくなるということで、つまり母親も外に働きに出ているということがわかります。要するに鍵っ子ですね。それに、江戸時代は共同体社会だから泥棒なんて入らない、したがって鍵なんていらないだろうと思いますが、必ずしもそうではないこともわかります。

また、江戸の学びはおおらかで強制されないため、誰も家に帰ってまで勉強しないだろうというイメージがあるかもしれませんが、それを覆す川柳も残っています。マンガの中にも「つかまえて 筆で艪をおす 夜手習」という川柳が載っていますね。他にも「抜き足で 米櫃を出す 夜手習」というのもあります。夜、勉強していてお腹がすいたから、みんなを起こさないようにそーっと歩いてきて、米櫃を探してご飯を食べている様子をうたったものです。「抜き足」ということは、みなを起こさないように静かに歩いているということですから、みんなが寝静まった後に、貴重な灯りを使って勉強している様子もうかがえます。

川柳だからこそ、生活の実態が見えてくるのではないでしょうか。きっといろいろな発見が川柳からみつかると思いますよ。

プロフィール

市川寛明先生
江戸東京博物館学芸員

1964年、愛知県生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。社会学博士。担当展覧会として『参勤交代』(1997年)、『大江戸 八百八町』(2003年)、『徳川将軍家』(2003年)、『新撰組』(2004年)。今年度人気を博した『坂本竜馬』展も手がける。編著に『図説 江戸の学び』(河出書房新社)、『一目でわかる江戸時代』(小学館)等。

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