「先生、こっち見て!」〜子どもからのメッセージ 塾も学校も、教師は同じ

教師としての叱り方・ほめ方~その1vol.13

第13回:教師としての叱り方・ほめ方~その1

「人を育てる」と言う立場にいる者にとって、「ほめる・叱る」は、避けて通れないことでしょう。この世に生を受けたその時から、人は「沢山ミルク飲めましたね。お利口さん」「泣いてばかりでだめですね。ほらほら、ミルクを飲まないと大きくなりませんよ」などと、親から子守唄の様に「ほめ言葉や軽い咎め言葉」を聞いて育っています。そして、何時からか、「ほめられた」「叱られた」と言うことを意識し、そのことによって、励まされたり落胆したり、あるいはほめ言葉に甘んじて調子に乗って失敗したり、叱られて奮起するきっかけを得たりする様になるのです。やがて大人になると、そんなことは忘れてしまって、兄や姉として、親として、指導者として、上司として、叱ったりほめたり、叱られたりほめられたりしながら暮らすようになります。

それが、心地よくそれぞれの人生に適度の刺激として働いているうちは良いのですが、たった一言の叱責の言葉が関係を壊したり、効き目のないほめ言葉で信頼を失ったり、相手を傷つけたりすることもあります。ほめたり叱ったりすることは、とても難しいことです。

ことに教師という立場にいると、「先生のおっしゃることなら聞くと思います。うちの子、ちょっと叱ってやってください」というように、叱ることを頼まれることもあります。これは、家庭ではなく「他人に教育してもらう意義」への保護者の期待の表れた一言といえるでしょう。

そこで、教師としてのほめ方・叱り方について、2回にわたって考えてみたいと思います。


その1:叱り方〜「ちゃんと叱ってよ!」子どもは、叱られることも嫌いじゃない

ある6年生の担任と子どもとのやり取りである。

C1:「先生、今日私たち○○の授業行きません。教室で、みんなで勉強しますから先生付き合ってください」

T:「えっ!どうしたの?今日、○○先生いらしてますよ」

C2:「わかっています。休み時間に○○先生に、『授業行かない』って言ってきました」

C3:「もう、みんな限界です……」

〜〜〜〜〜〜 中略 〜〜〜〜〜〜

C4:「一番許せないのは、ちゃんと叱らないことです。みんなだって、いけないことしたら、叱られるの、べつにいやだと思ってなんかないのに。何でもないとこでっかい声で怒って、本当に授業の邪魔になることしたり、横入りしてんのぜんぜん叱らないし。初めは、先生だから、みんな我慢してたけどもう、やんなった」

会話の中の“叱ること”についての部分だけをみると、「叱る」ことについての子どもの期待が見て取れます。中でも二つの言葉に注目してみましょう。

  • 「一番許せないのは、ちゃんと叱らないこと」
  • 「授業の邪魔になることしたり、横入りしてんのぜんぜん叱らない」

「叱る」と言うことの意味を改めて確認してみると、「目下の者の非を認め、改めさせようとして、厳しく注意すること」といえます。

では、1.で指摘している「ちゃんと叱らない」とはどういう状況を指しているのでしょうか。叱るには、まず「いけないことに対して、改めさせようという目的がしっかりあることが前提としてあります。この前提となる叱る目的が「ちゃんとしていない」というのがひとつ。そして、目的への道筋へ導くよう、厳しく注意するという「叱る」行為が「ちゃんとできていない」というのもまた考えられるところです。

「何でもないところででっかい声で怒る」「いけないことをしたら叱られるの、べつにいやだと思ってなんかない」という子どもたちの声からは、叱る目的の不明確さへの不満と、「誤りを指摘するだけではなく、だからどうすればいいか示したり、考えさせたりする」という「ちゃんと叱ること」を受け入れる用意があると告げているように思えます。

次いで2.からは、子どもが求めているのは「授業の邪魔、横入りなどのルール破りを先生は、ちゃんと見ててよ! ルール破りに対して公平にしてよ!」ということがわかります。まるで「先生、こっち見て」という子どもの声が聞こえるようですね。

こうしてこの会話を改めて振り返ってみると、子どもたちは叱られることを嫌がってはいないように思えませんか? そう、子どもたちは時には叱られることを期待してもいるのです。叱られるという行為を通じて、子どもは教師の中の自分の存在を確かめているのです。

以上を踏まえると、教師として子どもを叱る時には、次の4つを心がけるとよいのではないでしょうか。

  • 何を改めさせるのかはっきりさせて、本気で厳しく注意する。
  • ルールやモラル破りには、公平に対処する。
  • 子どもたちをしっかり見て、注意すべきことを見逃さない。
  • 愛情をもって、恐れず、タイミングよく叱る。(人前が良いか、1対1が良いかも含めて判断を)

では、次回は「ほめ方」について、みていきましょう。

プロフィール

丹伊田弓子(にいだゆみこ)先生
元川口短期大学こども学科教授
東京学芸大学・川口短期大学非常勤講師

東京学芸大学・同大学院卒。東京都の公立小学校教諭として勤務し、生活科カリキュラムの制定に携わる。2012年3月、川口短期大学教授を退任。現在、東京学芸大学・川口短期大学非常勤講師。日々、教職を目指す学生の指導にあたる。

「塾と学校とでは役割は異なりますが、子どもの学びという現場では、塾も学校も同じ。先生の役割も責任も同じだと私は思っています。小学校の教師として34年、その後大学教師としてたくさんの子どもたちに接してきました。その経験を通して学校の先生は子どもとどう向き合っているのかを感じていただき日々の指導の参考にしていただければと願っています。」

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