塾業界コラム

一流講師の条件とは<私塾界調べ>

子ども手当をめぐる塾のスタンス

今月のテーマは、「子ども手当て」について。現在、2011年9月までの時限立法である「子ども手当」の行く末が注目されています。子ども手当てと教育費の関係、そしてストップした場合の塾に及ぼす影響は……。私塾界独自のアンケートを基に、山田未知之副社長が今後の展望を語ります。

6月15日の東京新聞朝刊によれば、

「これまで自公両党は(1)現金支給を月一万円に減額(2)旧児童手当と同水準の所得制限を導入(夫婦と子二人の会社員世帯のケースで八百六十万円未満)-とする公明党案で基本的に一致。しかし、民主党内からは、所得制限の導入に対して「育児を社会全体で応援する」との基本理念に反すると異論が相次ぎ、党内の議論が進まずにいた。

こうした中、育児政策で公明党が主導権を握ろうと公表されたのが、厚労行政に通じた坂口氏の案だ。この案はまず現金支給について、公明党案の月一万円を見直し、三歳未満と第三子以降に限り一万五千円に増額した。

月一万円の場合、世帯の税負担を軽減する年少扶養控除が一一年度から段階的に廃止されている影響で、三歳未満の子を持つ中・低所得者は実質負担増となってしまう。公明党内にも懸念する意見が出ており、こうした世帯の不満をできるだけ解消するため、五千円増額で対処することにした。

一方、所得制限については、公明党案の八百六十万円から千二百万円未満まで緩和したのが特徴。この場合、所得制限を導入したとしても、実際には95%が受給可能になるのがミソで、民主党に配慮した格好。同党内からも「これなら受け入れることは可能だ」との声も漏れている。」

とのこと。

ゼロになることはなさそうですが、所得制限や支給額についてはまだまだ議論の幅があります。

すでに最初の支給からちょうど1年が経った子ども手当。
塾業界にはどんな影響があったのでしょうか。

支給前の2009年秋に、博報堂が行った調査では、「子ども手当」を“教育財源”と捉える層が67.3%おり、その層においては「将来的な教育財源」と捉えている傾向が強いことが報告されています。

■「子ども手当」の使途に関する保護者意識、調査結果報告
博報堂「教育コミュニケーション推進室」2009年10〜11月実施(有効回答=1418名。給付対象となる現在中学2年生以下の子どもを持つ保護者が対象)

○子ども手当の使い方(使途・時期)

○現在の教育・育児費用の制約・我慢

一方で、「現在の教育・育児費用についてなんらかの制約や我慢を感じているか」という質問については、「我慢したり、あきらめたりすることがある」が63.4%に上りました。

二つの結果を合わせて考えると、今すぐに教育について必要な出費予定があるわけではないが、子どもの教育のために、将来有意義な使い道を吟味したいという意識が感じられます。

○子ども手当の具体的な使途意向(複数回答)

具体的な使途においては「学校の費用」が18.9%でトップ。次いで、「スポーツクラブ」が16.2%、「学資保険など」が16.0%。「通塾」は補習目的の8.8%と受験目的の6.8%を合わせれば、15.6%になります。

さらに博報堂は興味深い調査結果分析も発表しています。

小5以下を持つ保護者層で子ども手当の有無にかかわらず「私立中学校を受験させるつもり」とする層が、15.7%になっているが、「(子ども手当が)給付されたら私立中学校の受験を検討する」とする「子ども手当に伴う中学受験参入層」が8.4%出現したというのです。
しかし、存続自体が不透明な財源をもとにして中学受験には臨めません。現在のように「いつまで続くか分からない」状況では、この8.4%も幻に終わったと見るほうが妥当でしょう。

さて、この1年、実際の塾業界への影響はどうだったのでしょう。

P.S.コンサルティングシステム主宰の小林弘典氏によれば、子ども手当の支給が始まった2010年6月から、若干ながら塾の生徒数の全体的な増加傾向が見られたとのこと。微減を続けてきた生徒数が少しでも増加したというのです。子ども手当の支給以外に生徒像の理由は見当たらず、子ども手当が少なからず塾業界にとっての追い風になっていると結論づけています。

支給開始当初、業界全体としては追い風であっても、月額1万3,000円という支給額を睨み、ダンピングなど、価格施策での集客に意識が傾くのではないかとの懸念もありました。しかし、2010年夏に私塾界が私塾界加盟塾を対象に行ったアンケートでは、「子ども手当が満額(2万6,000円)支給されても授業料は現状維持」が97.8%に上りました。

塾業界としては「静観」のムードだったと言えます。「今後どうなるか分からない政策に塾経営が振り回されてはいけないから」という理由が目立ちました。

その通りの展開となりました。

10月からの支給も不透明。

子ども手当をあてにするような塾経営では先行きままならないでしょう。

■私塾界2011年5月26〜29日インターネットによる保護者アンケート

○今通っている塾、子ども手当が停止されたらどうしますか?

私塾界が5月26日から29日にかけてインターネットで実施した保護者アンケートでは、「子ども手当が停止されても塾に通わせる」が84.2%であることがわかりました。

「支給が停止されたら、塾を辞めさせる」もしくは「低料金の塾に転塾させる」が合わせて2.8%、「まだ決めていない」が12.9%でした。

支給が始まるときもそれほどの影響はありませんでしたが、もし仮に今後支給が打ち切られるとしても即座にアゲインストの風になることはなさそうです。

景気や政策に振り回され、激しく浮き沈みする業界も多い中、塾業界はやはり外的要因に振り回される影響度合いが低い業界であることの証明でもあると思います。

塾経営においてもビジネス的な視点はもちろん欠かせませんが、世の中の流れに振り回されず、料金体系を維持し、生徒・保護者の満足度を高めていくという信念こそが塾の存続の最大の武器なのだなと改めて感じています。

文責:私塾界/全国私塾情報センター 副社長 山田未知之

プロフィール

山田未知之(やまだみちゆき)

私塾界/全国私塾情報センター 副社長

1977年、埼玉県生まれ。2010年より塾業界唯一の情報誌『月刊私塾界』を発行する株式会社私塾界の副社長を務める。同社は、1981年の創刊以来、全国の学習塾経営のサポート役として経営情報の提供やセミナーの開催、コンサルティング業務や進学資料の提供などを行っている。2011年には、わが子に合った塾選びのための情報サイト『塾図鑑』を立ち上げるため、バウンス株式会社を設立した。

ホームページ http://www.shijyukukai.jp/

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