塾業界コラム

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韓国の英語事情から見えるこれからの日本の英語教育

小学校での外国語活動必修化がスタートした今年度、日本の英語教育のターニングポイントになるのは必至。にもかかわらず、英会話教室の生徒が増えた等の動きもなく、盛り上がりに欠けている感は否めません。これからの日本の英語教育はどう進んでいくのか。韓国の事情から見る今後の行方を、(株)私塾界の山田未知之副社長が語ります。

韓国は日本の14年先を行っている

2011年学習指導要領の改訂により、小学校でも外国語活動が必修化されました。今のところ英会話教室の生徒が増えたなどの情報はあまり耳にしません、これからの日本の英語教育が大きく変化を始める象徴的な出来事であることに間違いはないでしょう。では、これから日本の英語教育はどうなっていくのでしょうか。いろいろな憶測がありますが、今回は韓国の事例を参考に考察したいと思います。なぜ韓国の事例を参考にするのかというと、現在の日本の状況が韓国の14年前の状況とそっくりだからです。

サムスンが採用・昇進の際にTOEICのハイスコアを要求するということなどが話題になり、今でこそ英語教育において、日本よりもだいぶ先を行っている感がある韓国ですが、かつて、韓国の英語教育は、大学入試をターゲットにした文法や語彙の暗記中心でした。決して日常のコミュニケーションに使える英語教育といえるような内容ではありません。そういう意味で、今の日本の英語教育とそっくりだったのです。それがこの10年ほどで革新的に変化したというのです。始まりはやはり、小学校での英語必修化でした。

韓国では1997年に小学校3年生から週2回の英語が必修化されました。日本より14年先を行っていることになります。ちょうどそのころ、韓国は通貨危機のまっただ中にいました。そのため就職難が深刻化し、TOEICスコアや英会話の能力を高めようとする社会人の英語学習者も増えていたころです。実社会における英語のニーズの急激な高まりもあいまって、親は「早いうちから英語をやったほうがいい」との思いを強くしたのです。まさに現在の日本の状況とそっくりですね。

しかし、小学校での英語導入直後、保護者からの評価はよくありませんでした。もともと1995年11月1日に英語教育政策を告示し、その後1年半も経たずにそれが施行されてしまったのです。準備不足だったのでしょう。また、本当に使える英語教育をするためには小中高の連携が重要で、全体のカリキュラムを見直す必要があったのに、それもしないまま小学校での英語教育がスタートしました。また、韓国教育部は英語教育に必要な1万6,600人の教師を対象に120時間の短期研修を行いました。しかし、それだけでは子どもたちに使える英語を指導するだけのスキルを身に付けることは難しかったのでしょう。教師たちの中には、3年生の担任を拒否するという動きまであったほど、現場は大混乱していたのです。保護者からの不信感も募りました。日本でも同様のことが起こりかねません。当時の韓国ではいったいどのように対処したのでしょうか。

個別指導とマルチメディアの活用で公教育を補完

韓国では、それを補うための役割を民間教育機関が担いました。具体的にいえば、レベルの違う子どもたちへの個別の英語教育です。つまり個別指導。これが韓国の使える英語教育における私教育のひとつの役割となりました。

さらに、韓国で英語教育が成功した背景として、マルチメディアの普及が上げられます。先に述べたように、韓国では政府が率先して各学校にネイティブ教師を配置しましたが、それだけでは実用英語に触れる機会は足りませんでした。それを補う形でマルチメディアによるネイティブ英語教材が発達したのです。これによって自宅でも良質な生きた英語に触れることができるようになりました。さらに現在では電話英語、リアルタイム英語講座など、時間と場所にとらわれず、現地のネイティブと英会話を勉強できるプログラムが出現しています。実用英語の習得において、マルチメディアの活用は避けては通れないでしょう。

その結果、韓国人のTOEICスコアは飛躍的に伸びました。2001年には韓国も日本も年間平均点は560点台とほぼかわらなかったのに、2009年には韓国が619点、日本が581点と差が拡大しています。さらに2010年の韓国の年間平均点は634点と一気に伸びました。韓国でのTOEIC受験者の約半数は就職を控えた学生です。1997年に小学校3年生だった子どもたちが大学まで予定通り進学したとすれば、2010年時点で大学4年生(ただし、男子の場合二年間の兵役があり、大学2年生である場合もある)。彼らが平均スコアを底上げしているといわれています。拙速で始められた英語教育改革でしたが、私教育のバックアップを得ることで大成功に至ったわけです。ちなみに、2010年の韓国の私教育費調査結果によると、ひとりあたりの月平均の教育費のうち、最大となる33%が英語にかけられています。その額は2000年代に入ってから右肩上がりで、2010年には約8万ウォン(約6,400円)となっています。

○2010年韓国のひとりあたりの私教育費のうち、英語が占める割合は33%

※韓国教育科学技術部提供
○英語私教育費は月平均8万ウォンの最高水準

※韓国教育科学技術部提供

日本では今年、試行錯誤の英語教育改革が始まり、今のところ盛り上がりにも欠けている感があります。しかし、どんなに準備不足であろうが、環境不足であろうが、時代の流れとともに、英語教育改革は確実に進んでいくでしょう。韓国同様、公教育だけで目的を達成することは難しいと予測されますし、もしかしたら韓国以上に公教育の力不足が露呈するかもしれません。そうなったときこそ私教育の力が必要なのです。韓国の例から見えてきた「個別指導」と「マルチメディア」の2つのキーワードが日本の英語教育においても私教育の果たすべき重要な役割となるような気がします。

文責:私塾界/全国私塾情報センター 副社長 山田未知之

プロフィール

山田未知之(やまだみちゆき)

私塾界/全国私塾情報センター 副社長

1977年、埼玉県生まれ。2010年より塾業界唯一の情報誌『月刊私塾界』を発行する株式会社私塾界の副社長を務める。同社は、1981年の創刊以来、全国の学習塾経営のサポート役として経営情報の提供やセミナーの開催、コンサルティング業務や進学資料の提供などを行っている。2011年には、わが子に合った塾選びのための情報サイト『塾図鑑』を立ち上げるため、バウンス株式会社を設立した。

ホームページ http://www.shijyukukai.jp/

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