塾業界コラム

一流講師の条件とは<私塾界調べ>

大学入試の国際化から見る、今後の塾市場

昨今の受験の傾向に強く見られるのが「安全」「現役」「就職力」、そして「地元」であると言われます。しかし、それは教育のグローバル化からの逆行だという指摘も。この相反する要素に、塾はどう対応して行くべきでしょうか。

高まる日本人学生の「内向き」志向

ここ数年、受験生たちの進学先が様変わりしてきたと言われます。「東京離れ」が起こり、地元及び近隣都市の大学へ進学が集中しているのです。東京でさえ、いちローカルエリア化し、「東京・首都圏」という限られた地域での“地元志向”が表れています。長引く不況は家計を圧迫し、東京の大学へ我が子を送りだし、学費・生活費を仕送りしていられないという現状もあるのでしょう。

こういった地元志向の高まりは、人材の首都圏一極集中を防ぐ効果もありますから、優秀かつ多くの高校生が地元に残ることになれば、地域活性化という点では歓迎すべきことかもしれません。

しかし一方で大学とは、全国の多様な人間が集まり、互いに交流することで人材としての成長を活性化させる場所でもあります。安直に「一人暮らしは面倒で、親元のほうが楽だから」などという発想があるとしたら問題です。それは単なる「内向き」志向であり、世界全体の流れとは逆行するものだからです。

高大接続、大学入試のあり方が変わり始める

ではなぜ、世界全体の流れが大事なのかと言えば、それは人材のグローバリゼーションに他なりません。日本の各企業は、優秀な人材確保を海外に求め始めています。異国である日本や日本企業で働こうという外国人学生たちですから、その向上心・積極性・ハングリーさは、安穏と大学生活を過ごしてきた日本人学生たちの比ではありません。

つまり、日本で育ち、日本の大学を出た日本人が、日本および日本企業で働けなくなってきているということなのです。いわゆる人材業界のグローバルスタンダードに照らした時、日本はかなり立ち遅れていると言えるでしょう。

そしてその波は、大学やその受験のあり方にも押し寄せています。学生当人たちの内向き志向とは裏腹に、国は「国際人材の育成が急務」とし、大学入試の大改革に動き出しています。東大9月入学もその一端でしょう。最近では平野前文科相が、大学入試センター試験を含む、入試制度の抜本的見直しを中教審に諮問、新しい高大接続の形を模索することとなりました。

もともとセンター試験は志願者の基礎学力を見極める事が目的でしたが、それも有名無実化し、単なる受験生の「足切り」作業になっているのが現実です。そうやって画一的に知識量を問うだけのテストが、前身の共通一次を含めると実に40年強もの間まかり通ってきたのです。そこへ近年は、PISAにおける日本の評価下落などを通じ、知識ばかりで想像力・応用力に欠ける日本人学生の姿が浮き彫りになり、ようやく「これはイカンぞ……」となったわけですね。

そんな時代において、その大学の質や学びを見極めず、単純な内向き志向だけで大学を選ぶのは、とても危険な行為と言えるのではないでしょうか。

国際バカロレア(IB)の台頭

また、大学受験の現場においてここ最近注目されているキーワードがあります。海外大入学資格「国際バカロレア(IB)」です。

これは「インターナショナルスクールの卒業生に、国際的に認められる大学入学資格を与え大学進学へのルートを確保するとともに、学生の柔軟な知性の育成と、国際理解教育の促進に資する」(文科省)ことを目的として設置された資格で、年齢に応じて、以下の3つのプログラムに別れます。

(1) PYP (Primary Years Programme:初等教育プログラム) 3歳〜12歳
(2) MYP (Middle Years Programme:中等教育プログラム) 11歳〜16歳
(3) DP (Diploma Programme:ディプロマ資格プログラム) 16歳〜19歳

公式教授言語は、英語、フランス語、スペイン語。知識だけでなく、討論を通じた問題解決力育成を重視することも特徴です。スイスに本部を置く国際バカロレア機構によって認定された、規定のプログラムを設置した学校の教育課程を修了し、最終的な統一試験に合格することで取得できます。米・ハーバード大など、世界の有力大の多くが入学資格に採用中です。

しかし国内のIB認定校は、公式教授言語の問題から、インターナショナルスクールなどわずか24校に留まっているのが現状です。

国内バカロレア校
名称 都道府県 PYP MYP DP
セント・メリーズ・インターナショナルスクール 東京都
カナディアン・アカデミー 兵庫県
サンモール・インターナショナルスクール 神奈川県
横浜インターナショナルスクール 神奈川県
清泉インターナショナル学園 東京都
関西学院大阪インターナショナルスクール 大阪府
加藤学園暁秀高等学校・中学校 静岡県
ケイ・インターナショナルスクール東京 東京都
広島インターナショナルスクール 広島県
東京インターナショナルスクール 東京都
神戸ドイツ学院 兵庫県
京都インターナショナルスクール 京都府
福岡インターナショナルスクール 福岡県
名古屋国際学園 愛知県
玉川学園中等部・高等部 東京都
AICJ中学・高等学校 広島県
立命館宇治中学校・高等学校 京都府
カナディアン・インターナショナルスクール 東京都
東京学芸大附属国際中等教育学校 東京都
沖縄インターナショナルスクール 沖縄県
ぐんま国際アカデミー 群馬県
つくばインターナショナルスクール 茨城県
同志社国際学院 京都府
大阪YMCAインターナショナルスクール 大阪府
出典/文部科学省

そこで文科省は、このIBを日本語で取得できるよう、機構本部と交渉を始めました。それが意味するところは、海外留学しやすい環境を整え、グローバル人材を育てないといけないという国家的危機感でしょう。それをにらんだ教員養成、学習指導要領との調整も進め、「今後5年以内に、IBを取得可能な高校を200校に増やす」と鼻息も荒い状況です。

塾も国際視点を持って、海を渡る時が来た

この状況を鑑み、塾にできることとは何でしょうか。それは、まぎれもなく国際基準を意識した指導体制の確立です。そもそも、今まで塾は、東大を頂点とする日本の教育システムに批准する傾向が強くありました。しかしその東大も、QS世界大学ランキングでは30位と、その凋落に歯止めがかかりません。

学校も塾も、世界基準の大学進学に対応する力を持っていなかった、いや、目を向けていなかったと言えるでしょう。しかし、時代はそれを許さなくなってきました。塾市場は飽和状態が続き、新たな市場開拓が欠かせません。「海外の大学」「国際社会」にこそ、その活路があるのではないでしょうか。

なにも、全ての塾がハーバードやケンブリッジを目指せる体制を作れというのではありません。ただ、「外」に目を向ける必要はあると思います。受験生もそうですが、塾も「内向き」になっている場合ではないのです。

文責:私塾界/全国私塾情報センター 代表取締役社長 山田未知之

プロフィール

山田未知之(やまだみちゆき)

私塾界/全国私塾情報センター 代表取締役社長

1977年、埼玉県生まれ。30年超の歴史を誇る塾業界のトップ専門誌『月刊私塾界』を発行する、株式会社私塾界/全国私塾情報センターの代表取締役社長。同誌を創刊した亡父・山田雄司氏の遺志を継ぎ、2012年10月より現職。民間教育のあり方や業界への想い熱く、全国約2,000社の学習塾のサポート役として、経営情報の提供や研修・セミナーを開催している。

全国私塾情報センターオフィシャルサイト http://www.shijyukukai.jp/

これまでの記事

  1. 学研塾ホールディングス
  2. トップメニュー
  3. 講師憲章
  4. 学研・塾講師検定
  5. CSR活動
  6. お知らせ

コラム

学研塾HDグループ・トピックス

早稲田スクール

9/17:中3対象の「第2回共通テスト対策特訓」スタート

あすなろ学院

9/16、23:数英理社、入試対策実戦ゼミ体験会=毎年的中多数の入試予想問題演習と解説講座を体験

学習塾イング

「中3生対象 志望校突破ゼミ9月スタート!」土日を中心に「実力テスト対策」「入試対策」のゼミを開講。(ゼミのみ受講も可能)

早稲田スクール

9/10:小6受験生対象の「絶対合格特訓シリーズJr」スタート

学習塾イング

「イング美原校リニューアルOPEN!」9月新入生、リニューアル特典。入学金免除&9月授業料・学習支援費:50%OFF(先着10名様限定)

あすなろ学院

9/1〜30:ドリスタ7。定期テスト対策はこれでばっちり。7大イベントに参加で成績UP&景品GET!

全教研

8/24〜26:エコアドロケット・種子島

全教研

8/19〜23:小4〜中3夏期合宿(小4小5中1中2は8/22まで)

全教研

8/18:中学生特待選抜テスト

全教研

8/7〜11:高3夏期合宿

ページトップへ戻る