塾業界コラム

一流講師の条件とは<私塾界調べ>

学校の変化・淘汰の波に、いま学習塾は

原則として学習塾は、良くも悪くも公教育あっての存在です。しかし今、そんな学校の「在り方」が大きく変わろうとしています。それに伴い、学習塾の役割はどう変化していくのか。山田社長が語ります。

既存の学校制度が変わる!?

先月、自民党の教育再生本部が発表した分科会の中間とりまとめの中に、非常に衝撃的な内容が含まれていました。それは、「平成の学制大改革」を行うというもの。学制改革と言われてもピンと来ないかもしれませんが、つまりは「現在の学校における“6・3・3・4”制を見直すぞ!」という素案です。

6・3・3・4制に見られる現在の日本の学制は「単線型」と呼ばれるもので、初等教育から高等教育までが一本化されている状態を指します。その目的・利点は教育の機会均等です。学校教育法が制定された1947年以来、実に約70年もの長きに渡り続いてきた制度であり、アメリカや韓国もこの「単線型」を採っています。

これと対極にあるのが「複線型」。学校の種類、その修業年数とも、あらゆる選択肢を設けようという制度です。つまり「小学校に6年、中学校で3年。そして高校へ」という既成概念は壊れます。中学でも高校でもない、新しい「学校」も出現するかもしれません。国民がそれぞれ学びたい教育機関で、学びたい事を、学びたいように学べる、まさにフリーダムな状態ですね。教育再生本部はこの「複線型」へ移行したいと言っているのです。

もちろん、単線型・複線型それぞれに利点があり、ここでその是非を問うものではありません。ただ、この発表を行った教育再生本部・本部長の下村博文議員は、「政権を奪還できたら、すぐ着手すべき内容」だと述べています。仮に自民党の復権が成って「複線型」への改革が進められた場合、塾の種別やそのカリキュラムも抜本的に変わることは必至でしょう。

しかし、それは裏を返せば、塾にとって市場の広がり・ビジネスチャンスを意味します。また「複線型」は、選べるが故に、選択を誤っても学び直せるという社会制度とセットでなければなりません。すると、その選択肢はリカレント教育にまで及び、多様化を極めることが予測されます。そろそろ「学習塾は小中高生のもの」という概念を超えて、考え始めなければいけないのかもしれませんね。

学校が「つぶされる」時代に

そして「ついに来たか」という印象なのが、文科省による「学校法人堀越学園(群馬県高崎市)」への解散命令決定です。幼稚園を前身として大学・専門学校へと順調に拡大した同学園でしたが、その後は定員割れが続いて運営が悪化。「賃金の未払い、税金や公共料金等の滞納、学校債の償還未履行や教職員の雇用をめぐる訴訟など、様々な問題が発生」(文科省)し、もはや学校としての存在意義が担保されていないと判断されたのです。

ただこの事実は、一つの学校がなくなるという表面だけで捉えてはなりません。重要なのは、自主廃業ではなく、国(文科省)がその主導のもとで学校を解散させる行動に出たということです。「教育は国家百年の計」という言葉もあるように、本来教育機関は、資金面・法制面とも全面的に力を入れるべき国の根幹。極端に言えば、「何が何でも守らなければいけない存在」であったはず。しかし現実として、「守る」どころか「とどめを刺した」わけです。

過去にも、学校法人に対する解散命令が出たことはありました。ただそれもわずか3校であり、教育実態がないなど「解散して当然」のパターン。しかし今回の事例は、在学生が残る状態での解散命令決定でした。これは初の出来事であり、極めて異例な強行的措置と言えるでしょう。

■文科省により解散命令を出された学校法人一覧

法人名 設置 解散命令 備考
北九州学院 1967 2004 20年以上校舎・校地がない状態で20年以上休眠後、廃校
瑞穂学園 1966 2004 労働目的の中国人を学生ビザで不法受け入れ。社会問題に
富士見丘学園 1965 2005 経営トラブルから学生募集停止、約40年休校ののち、廃校
堀越学園 1966 2013 在学生がいる中で初の解散命令。転学支援にも課題残る

ビジネス重視が故に、ビジネスから弾き出される?

では文科省はなぜ、こういった「力技」に出たのでしょうか。そこには「教育立国を目指してより質の高い教育を保全するため、『そうでない学校』には退場していただこう」という、国の方針が垣間見えます。

その分かりやすい例としてもう一つ挙げられるのが、先ごろ世間を賑わせた田中真紀子文科大臣による大学不認可問題。「少子化が進む中で、ただでさえ定員割れの大学が続出しているのに、これ以上大学を増やしてどうするのか」という観点から、設置基準を厳しくし、それをもとに再審査すべきでないか、というのが田中大臣の主張でした。結果はご存知の通り、大臣が方針を撤回し、現行制度で認可することで落ち着きましたよね。

確かに「大学は多すぎる! だから減らせ!」という意見は、概ね筋が通った話だとは思います。もともと設置基準の規制緩和(91年)においては、「大学に市場原理を持ち込んで競争させれば、淘汰により質の高い大学だけが生き残る」という読みがあったと言われます。しかし大学はあらゆる質向上を重ねて生き残り、減るどころか増えてしまいました。

しかしその一方で「潰れた大学」も確かに存在します。その差はどこにあったのでしょうか。これについて神戸女学院大学名誉教授の内田樹氏は「株式会社立の大学」の衰退に触れ、「ビジネスマインドに基づいて運営する学校は生き残れなかった」と指摘しています。

規制緩和により、ビジネス視点で運営する大学を投入すれば、その意識が低い旧態たる大学は淘汰されるはずでした。ところが皮肉なことに、ビジネス視点で参入した大学のほうが、市場から弾き出されてしまったのです。極論すれば、市場は「教育をビジネスと捉える大学はいらない」という審判を下したと言えます。それはある意味、教育の「真理」だったのかもしれません。

そしてこれは同時に、塾にも言えることです。もちろん塾は民間企業であり営利団体ですから、「経営」という視点を忘れてはならないのは当然です。しかしその根底には教育への熱い想いがあってこそ。何よりも「生徒たちのために」を考え、実践すること――結局はそれが、ビジネスとしての安定や成功をもたらすことになるのだと私は信じています。

近年では、学校運営に参入する塾さんも増えてきました。民間教育から公教育へその活動の場を広げても、どうか原点となる教育理念を大切にすることで「生き残って」いただきたいと切に願います。子どもたちに永続的なサービス(教育)を提供するためにこそ、生き残る。何がなんでも潰れない、潰さない。それもまた、教育従事者・教育産業企業としての義務ではないかと思うのです。

文責:私塾界/全国私塾情報センター 代表取締役社長 山田未知之

プロフィール

山田未知之(やまだみちゆき)

私塾界/全国私塾情報センター 代表取締役社長

1977年、埼玉県生まれ。30年超の歴史を誇る塾業界のトップ専門誌『月刊私塾界』を発行する、株式会社私塾界/全国私塾情報センターの代表取締役社長。同誌を創刊した亡父・山田雄司氏の遺志を継ぎ、2012年10月より現職。民間教育のあり方や業界への想い熱く、全国約2,000社の学習塾のサポート役として、経営情報の提供や研修・セミナーを開催している。

全国私塾情報センターオフィシャルサイト http://www.shijyukukai.jp/

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