塾業界コラム

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自民党「教育再生実行本部」の施策が、塾のビジネスチャンスを拓く

昨年末の衆院選で自民党が政権を奪還しました。その中において学習塾業界が注目したいのは、先ごろ発表された「教育再生実行本部」の正式設置でしょう。第一次安倍内閣における「教育再生会議」の事実上の復活となるもので、現行の単線型6・3・3・4学制の見直しなどを始めとし、法改正を含めてあらゆる提言をしていくとのこと。この動きが塾業界に与える影響について、山田社長が語ります。

本気度高い、自民党の教育再生政策

自民党の「教育再生実行本部(仮称・以下略)」は、同党が野党時代の昨年10月に設置。5つの分科会からなり、様々な角度から現代教育の在り方を見直そうというものです(表1)。「人創りは国創り」を謳い、教育再生を重要政策に掲げる自民党ですが、同実行本部を安倍総理の直属機関に位置付けたことからも、その本気度が伺い知れます。

メンバーは安倍総理、菅官房長官、そして下村文科相のほか、大学教授・企業経営者ら各界の有識者十数人。このたびの政権奪還を受けていよいよ正式設置の運びとなり、官邸主導での教育再生が始まろうとしています。

表1:教育再生実行本部の構成(2012年10月発足時) 本部長:下村博文

分科会名 座長 主な議題
基本政策 遠藤利明 学制、職業教育、高等学校の教育、教員の養成・採用・免許の在り方
いじめ問題対策 馳浩 警察・弁護士との連携、ネット上のいじめ、教育現場の隠ぺい体質
教科書検定・採択改革 松野博一 近隣諸国条項含めた検定基準の検証、地教行法と無償制度の整理
大学教育の強化 山谷えり子 国際競争力の強化、9月入学に伴うギャップタームの生かし方
教育委員会制度改革 義家弘介 責任体制の強化、日教組との癒着、不適格教員の処分

そんな教育再生実行本部ですが、今後取り組んで行く施策として、昨年11月に中間取りまとめを発表しています。その中から今回特に注目したいのは「大学教育の強化分科会」が取り組む大学改革。大学の存在意義や質、入試制度が変われば、塾もその対応は不可避です。これについて、少し考えてみたいと思います。

偏差値以外の判断基準が、サービス拡充へのフォローウィンドに

注目すべきは、大学の質・量両面からの充実促進の動き。同分科会はこれを「大学ビッグバン」と銘打って、大幅な改革を断行しようとしています。その背景にはやはり、昨今叫ばれている「大学の質低下」があるようです。

少子化で学生数は減っているのに、大学の数は増える。大学全入時代となり、全体的な水準が低下する……。昨年、ニュースを賑わせた新設大学の不認可問題も、設置基準を厳しくして質の高い大学を増やすことがその趣旨でした。政権が自民党に移っても、その考え方自体が変わったわけではありません。今回の中間取りまとめにおいても、「経営が悪化したり、質が著しく低下した大学の改善を促し、成果が認められない時は退場を促す仕組みの確立」という文言が明記されています。堀越学園(群馬県)への解散命令も記憶に新しいところです。

こういった事情をふまえると「偏差値だけでは測れない大学の質」も一つの判断基準となってくるでしょう。現に文科省は2011年4月より、各大学に9項目からなる基本情報の公表を義務化しました(表2)。さらにこれを進化させ、各大学の特色などを共通データベース化する「大学ポートレート構想」も進められています。退学率や就職先、財務状況など、不利になり得る情報も開示が必要になりますから、一部の大学からは猛烈な反発もあったようですが、そもそもそれを隠そういうのがおかしな話。隠ぺい体質にも繋がりかねません。こういった姿勢も、一つの判断基準として評価対象とできるでしょう。

表2:大学に課された公表項目

(1)大学の教育研究上の目的
(2)教育研究上の基本組織
(3)教員組織や教員数、教員が持つ学位・業績
(4)入学者数、在学者数、卒業者数、就職者数など
(5)授業科目と内容、年間の授業計画
(6)学習成果の評価、卒業の認定基準
(7)校舎などの施設と整備
(8)授業料など大学が徴収する費用
(9)学生の修学や進路選択、心身の健康への支援

そしてここに、塾にとっての追い風も隠されているように思います。こういった総合的な情報を基に大学の質を見極めれば、学校の進路指導ではカバーできないきめ細やかさを発揮できるはず。本当にその生徒に向いた大学を、一緒になって考えてあげることができます。昨今は地元・国公立・安全志向が強いですが、そんな短絡的な大学選びではなく、もっと広い視野や価値観で主体的な大学選びをサポートするのです。

もちろんそのためには、まず塾自身がこれらの情報に精通すべく学ばねばなりません。「学校にできないきめ細かさを」と言いながら、今まではむしろ塾が率先して「キミの偏差値はこれくらいだから、○○大学あたりを狙ってみては?」という単調な進路指導がなされてきた面もありました。なぜなら、塾も大学について勉強不足であり、偏差値準拠以外の指導方法を知らなかったからと言えるのではないでしょうか。もしそこから脱皮することができれば、サービスの質はさらに上がり、強い差別化の要素にもなるはずです。

大学入試制度の多様化はピンチ? チャンス?

分科会の中間とりまとめをさらに細かく見て行くと、「入試制度の抜本改革」が目を引きます。公表資料によると、このような内容です。

(1) 高校在学中も何度も挑戦できる達成度テスト「日本版バカロレア」の創設。英語はTOEFL等を活用
(2) 日本版バカロレアを前提にした論文、面接、多様な経験重視で潜在力を評価する入試改革
(3) 国際バカロレアに日本語を追加し、国際スタンダードのもとでの海外留学の促進
※国際バカロレア……海外大学の入学資格として世界的展開をしている認定基準で、この認可を受けた学校を卒業することでその資格が与えられる

これらを読んだだけではピンと来ないかもしれませんが、要するに「グローバル人材を育てたい!」ということです。中でも「英語はTOEFL等を活用」の文言を見落とすことはできません。TOEFLとはご存知の通り、非英語圏出身者が英語圏の高等教育機関へ留学する際、それに足る英語力があるかどうかを判定するテスト。これが示すところはつまり、国内大学の質向上を図りながらも、一方でもっと海外に出て学んで欲しいと考えているということでしょう。

これまでも盛んに指摘されてきましたが、日本の英語教育は実用性に欠けると言われます。国内の受験を突破するための英語学習に終わっているからであり、塾の英語指導においてもそうであった感は否めません。バカロレア教育への対応に至っては、その視点を持っている人すら少ないでしょう。

また「論文、面接、多様な経験重視で潜在力を評価する入試改革」も重要なキーワードです。これも、正解至上主義の受験制度から脱却し、論理的思考力や表現力、コミュニケーション力も加味した評価制度に移行しようという意志の表れに他なりません。

こうして見ると「変わることが多すぎだ」と、不安に感じる方もいらっしゃるでしょう。しかし、それこそがチャンスなのです。公教育や大学の質、入試の内容・意義が多様性を増していく今後、塾としてそれらに全方位対応したり、あるいは特化したりといった経営戦略も取れるはず。組み合わせたりコラボレーションしたり、といったこともできるのではないでしょうか。これらへの対応が、今後の塾のキラーコンテンツになる確率はかなり高いと言えます。そしてその可能性は無限に広がっているのです。

文責:私塾界/全国私塾情報センター 代表取締役社長 山田未知之

プロフィール

山田未知之(やまだみちゆき)

私塾界/全国私塾情報センター 代表取締役社長

1977年、埼玉県生まれ。30年超の歴史を誇る塾業界のトップ専門誌『月刊私塾界』を発行する、株式会社私塾界/全国私塾情報センターの代表取締役社長。同誌を創刊した亡父・山田雄司氏の遺志を継ぎ、2012年10月より現職。民間教育のあり方や業界への想い熱く、全国約2,000社の学習塾のサポート役として、経営情報の提供や研修・セミナーを開催している。

全国私塾情報センターオフィシャルサイト http://www.shijyukukai.jp/

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