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道徳が「教科」になったとき、塾は

政府の教育再生実行会議が打ち出した「道徳の教科化」。相次ぐいじめ問題などを背景に「他者への思いやり、規範意識」を育むことを掲げ、いよいよ本格的に動き始めました。文科省の中でも、2015~2016年ごろには実施したいという意見が出ているようです。しかし、やはり非常にデリケートな問題だけに、教科化には賛否両論が噴出。それをふまえ、民間教育の立場からできることとは何でしょうか? 山田社長が語ります。

道徳が「教科」になるということ

これまで道徳は、総合的な学習の時間などと同じく「教科外活動」の扱いでした。そもそも、道徳を教科化することと、従来の道徳教育は何が違うのでしょうか? 簡単に申しますと、比較的自由度の高かった道徳の授業を体系化して、

1. 授業時間数を確保
2. 年間を通じて組織的かつ計画的に指導
3. 学習指導要領で示す内容に即した教材を使用

という体制を作ろうということです。

しかし、教科になるということは、原則として「数値による評価が行われる」「検定教科書を使用する」「(中学校では)科目担当教員の免許を設ける」ということでもあります。こういった点に対し、「そもそも道徳観をどう評価するのか」という懸念が出るのは当然でしょう。

一応、これらに対しては、従来の教科とは違う枠組みでの教科化を目指すとしていますし、数値評価については行わない方向のようです。下村文科相も「数値評価はそぐわない」との意見を述べていますのでそこは良しとしても、一方で「画一的な価値観を押し付けるべきではない」という声もあります。これも至極まっとうな意見ではないでしょうか。

たとえば先般、インターネット上で「童話・ごんぎつねに対して小学生が書いた読書感想文」というトピックが話題となりました。その小学生の主張は「ごんぎつねは撃たれて当然である。隠れて罪滅ぼしをするのは自己満足に過ぎず、猟師はその真意を知らないのだから。そもそも、撃たれる原因を作ったのは、かつてごんぎつね自身がイタズラばかりしていたからで、自業自得だ」というものです。これに対し「その発想は相応しくない」「いや、正しい」「そもそも正否を論じるものではない。大人がそれを押し付けるなんて、そのほうが恐ろしい」という意見が次々に飛び交ったのです。

多様な道徳教材をどう扱うか

そういった多様な価値観を認める中で、一定基準を設けた検定教科書をいかにして作るのか。実務的なところでは、教師の研修・育成とともにここが問題視されています。下記の表は少し古いデータですが、これまでも様々な教材が用いられているようです。

道徳の時間の教材(文部科学省・平成 15 年度道徳教育推進状況調査)

(表)道徳の時間の教材(文部科学省・平成15年度道徳教育推進状況調査)※単位=%

塾は私教育・民間教育ですから、道徳が教科化され、検定教科書や独自の評価基準が設けられたとしても、原則としてそこに縛られる必要はありません。これまでのように、自らが信じる人間教育を、信念を持って実施することで、より塾としての色が際立つことでしょう。学校教育が画一的になり、教育が標準化されればされるほど、塾は塾らしさを発揮できるとも言えます。

道徳が教科化され、それが塾のサービスとしても成り立つとすれば、こういった教材の面も含め、強い独自色が出るのではないでしょうか。

学校ができないことを塾で、という基本

民間教育の立場から取り組める道徳教育としては、すでにいくつか分かりやすいヒントや事例があふれています。たとえば、JFA(日本サッカー協会)「JFAこころのプロジェクト」では、日本代表を含むJリーガーやなでしこリーグの選手、OBらが「夢先生(通称:ユメセン)」として小学校に赴き、夢や目標を持つこと、そこへ向けて努力すること、フェアプレーや助け合いの大切さを子どもらに説く活動を行っています。

ほか、論語の素読みを行ったり、道徳観を育む映画を観賞したり、といった素晴らしい取り組みも多数なされており、こういった草の根活動は枚挙にいとまがありません。もしこれらが、教科化によって道徳の授業と見なされなくなるようなことがあれば、それこそ塾の出番ではないでしょうか。学校がやらないこと、できないことをやる、というのは塾の一つの真骨頂であるはずです。

素材はいくらでもあふれている

もちろん、現在行われている意義ある活動や教材を引きつぎ、残して行くことも一つの方法でしょう。と同時に、オリジナルを開発・考案したり、主要教科と組み合わせたりして道徳教育を行うこともできるのではないでしょうか。

たとえば動画サイトのYouTubeなどには、道徳を教える素材となるような感動的動画が多数UPされています。こういったコンテンツを応用し、サンデル教授の白熱教室のように、議論を交わすこともできるはずです。道徳観とともに、日本人が弱いとされる論理的思考力やディスカッション能力を養えると思います。海外コンテンツを使えば、英語教育にも併用できそうです。

また、自塾の合宿やイベントなどの映像記録を使って、感動ムービーを作ることが得意な塾さんも多いと思います。そういった技術やセンスも、塾での道徳教育、もしくはそのサービス化に応用できるはず。ぜひ、これらを活用して「道徳×塾」という新しい、それでいて塾の本流であった教育サービスにも力を入れてみてはいかがでしょうか。

ただし、ネット上の動画や音楽を使用する際には、著作権の取り扱いには十分ご注意くださいね。「まあ、バレないしちょっとくらいいいだろう」という発想には疑問符が付きます。道徳教育のために、軽い気持ちで法を犯すようでは本末転倒。そんな先生が、道徳の何を語るのか、という話になってしまいますよ!

文責:私塾界/全国私塾情報センター 代表取締役社長 山田未知之

プロフィール

山田未知之氏

山田未知之(やまだみちゆき)

私塾界/全国私塾情報センター 代表取締役社長

1977年、埼玉県生まれ。30年超の歴史を誇る塾業界のトップ専門誌『月刊私塾界』を発行する、株式会社私塾界/全国私塾情報センターの代表取締役社長。同誌を創刊した亡父・山田雄司氏の遺志を継ぎ、2012年10月より現職。民間教育のあり方や業界への想い熱く、全国約2,000社の学習塾のサポート役として、経営情報の提供や研修・セミナーを開催している。

全国私塾情報センターオフィシャルサイト http://www.shijyukukai.jp/

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