塾業界コラム

一流講師の条件とは<私塾界調べ>

塾のブルーオーシャンは海外にあるのか?!

個別指導や自立学習型の台頭、映像授業などの新たなコンテンツ、そしてオンライン化。少子化の中、あらゆる方法が模索され、教育手法は「出尽くした」感もあると言われます。市場は飽和し、レッドオーシャン化しているという声も少なくありません。しかし、目線を「世界」に向けてみるとどうでしょうか? 塾の海外進出の可能性について、山田社長が語ります。

「地域」と「地元」は同義ではないはず

子どもたちを「数」と見るのはいかがかと思いますが、少子化の波の中、これまで塾は限られたパイを奪いあって来ました。生き残りを懸け「少しでも他社・他塾と差別化を」「少しでも高品質な教育コンテンツを」としのぎを削り、次から次へと新しい教育サービスを世に生み出し……その戦いは、今も続いています。しかしもちろん、それは単なる不毛な争いだったのかと言えば、決してそんなことはありません。

なぜならその競争は、日本全体における教育サービスの質的向上をもたらしました。そのコンテンツ、蓄積されたノウハウにおいては、日本独自の高水準なサービスも多く、教育における「Made in JAPAN」を創り出してきたとも言えるのではないでしょうか。

塾は地域ビジネスという印象が強いのは事実ですが、それがある種の内向き志向となり、海外という市場を始めから考えもしない、閉塞的な発想に陥っていないでしょうか。「地域」と「地元」は決して同じではありません。培ったノウハウや情熱を、海外の「地域」に根付かせることは決して不可能ではないと考えます。

注目の市場は、やはりアジア

国産教育の海外輸出事例としてよく知られているところでは、公文式が挙げられるでしょう。今から約40年前、米・ニューヨークに初めての海外教室を開き、現在では生徒の6割以上が海外の子どもたちです。

その後も、大手を中心に海外市場への進出が見られるようになりましたが、その広告戦略においても「Made in JAPAN」はかなり好意的に受け止められているようです。

国内塾企業が進出している海外市場の一例

アメリカ合衆国 ベトナム インド 韓国 中国
シンガポール マレーシア フィリピン インドネシア タイ

なお、上記リストをご覧いただくと分かりますが、市場はアジアが圧倒的に多くなっています。これは主に、経済成長と共に教育熱が高まり、ニーズが増えてきたことによります。

欧米諸国への進出が少ないのは、エリートを養成する寄宿制教育機関・ボーディングスクールの存在が多少なりとも影響しているのかもしれません。こういった教育機関が、ある程度「進学塾」としての役割を果たしているということと、欧米の大学は入学試験のスタイルが違うため、ニーズが生まれなかったということが言えるのではないでしょうか。

もしそうなのだとすれば、市場として望みが薄いのか? といえば、そういうことでもないように思います。学力中間層を対象にした個別指導や、日本人学校の生徒も十分に指導対象になりますし、実際に20年以上前から欧米の日本人の駐在員が多い地域には日本の学習塾が進出しています。

こういった塾では、通常の学習補助や応用・発展もそうですが、帰国時を見据えて、日本式の授業やそのレベルに対応させるためのフォローも行っているようです。

子どもも多く、教育熱は高まる一方

市場としてアジアが有望なのには、もう一つ理由があります。それは、やはり子どもたちの数です。(表1)が示すように、少子化にあえぐ日本とは裏腹に、海外、特にアジア諸国ではその人口比率も日本の約2倍です。

(表1)国民全体に占める子ども(15歳未満)の数の割合

日本 アメリカ 中国 インド ベトナム タイ
13% 20% 18% 29% 24% 21%

また、東南アジアというと、貧しい「教育不毛の地」を安直に想像しがちですが、それは間違いです。各国の「家計の中で教育費が占める割合」を調査したところによると、ベトナムや台湾、インドネシア、フィリピンなどのそれは軒並み4%強〜7%弱で、先日の日本経済新聞の見出しでも、「エンゼル係数」という言葉で紹介されていました。実はこの割合、日本平均の2倍〜3倍に相当する数値なのです。意外に思われるかもしれませんね。

特にインドネシアでは、生産年齢人口が養われる側(高齢者・子ども)より多くなる、「人口ボーナス期」が2030年ごろまで続くと言われ、所得水準・経済の発展が見込まれています。

採算と収益性にメドが立てば、大いに魅力的

課題は採算と収益性でしょう。通貨価値の違いなどもありますから、もちろん「ヒト・モノ・カネをすべて日本から」というわけにはいきません。

例えば、講師を始めとする従業員は主に現地採用となります。しかし、このあたりの育成ノウハウもやはりMade in JAPANの強みでしょう。ビジネスとして教育を実践できる人材を育てられるということは、やはり日本の学習塾のお家芸とも言えます。外資によって産業や雇用が増えることは、アジア諸国にとっても悪い話ではありません。

もちろん、現地人材を活用して映像教材を作る展開も考えられますし、昨今のMOOCやOCWの流れを見れば、無料で調達することも可能です。そうなれば、教務や教育システムの違いによる言語の壁も大幅に軽減されます。日本では、初期投資として語学に堪能なメンターおよびマネージャーを育てることに徹し、いずれはそれも現地人材に任せればよいのです。その見通しさえ立てられれば、まだまだ成熟への過渡期にある市場の数値から見ても、やってみるだけの価値は十分にあります。

最後にモノをいうのは、教育への「想い」

再び公文式の例ですが、その成功の陰にあったのは、教育ノウハウもさることながら、現地における教育理念への共感が大きかったと言われます。教育を単なるビジネスと捉えず、崇高な志を持ってそれを為す。こういう点こそ日本の学習塾の美学でもあり、脈々と築いてきた「私塾の魂」でもあったはず。いわば、最も「得意とする分野」です。

「とはいえ、資本力のある大手じゃないと……」と思われるかもしれません。しかし、そんなことはありません。「バングラデシュ版ドラゴン桜」として、映像教材を用いてアジアの貧困地域に教育をもたらした若手社会起業家・税所篤快氏の活動も、その成功を支えたのは地道なアナログ活動でした。「貧困のせいで教育を受けられない子どもたちを助けたい」という想いが、ノーベル平和賞を受賞したユヌス博士(貧困者向けのマイクロファイナンス機関・グラミン銀行創設者)や現地教育者らを動かしたのです。当時、彼は大学生でした。

このように、海外は塾にとってとても魅力的な市場。あなたも、その教育への情熱を、海外というブルーオーシャンに向けてみてはいかがですか? 日本の「JUKU」を、あなたの教育を必要としている子どもたちは、世界中にいるのです。

文責:私塾界/全国私塾情報センター 代表取締役社長 山田未知之

プロフィール

山田未知之氏

山田未知之(やまだみちゆき)

私塾界/全国私塾情報センター 代表取締役社長

1977年、埼玉県生まれ。30年超の歴史を誇る塾業界のトップ専門誌『月刊私塾界』を発行する、株式会社私塾界/全国私塾情報センターの代表取締役社長。同誌を創刊した亡父・山田雄司氏の遺志を継ぎ、2012年10月より現職。民間教育のあり方や業界への想い熱く、全国約2,000社の学習塾のサポート役として、経営情報の提供や研修・セミナーを開催している。

全国私塾情報センターオフィシャルサイト http://www.shijyukukai.jp/

これまでの記事

  1. 学研塾ホールディングス
  2. トップメニュー
  3. 講師憲章
  4. 学研・塾講師検定
  5. CSR活動
  6. お知らせ

コラム

学研塾HDグループ・トピックス

早稲田スクール

11/18:小6受験生対象の第3回「熊大附中模試」「県立中模試」

早稲田スクール

11/14:第2回「保護者面談会」スタート

早稲田スクール

11/12:第2回「熊高模試」

早稲田スクール

11/5:小5対象の第2回「熊大附中模試」、小6対象の無料模試・第1回「新中1学力予測テスト」、および中2対象の無料模試・第1回「プレ四高模試」

全教研

秋季学習合宿開催!
小4・小5:11/24〜26・玄海ロイヤルホテル
小6:11/3〜5・宗像グローバルアリーナ
中3:11/24〜26・和多屋別荘/龍登園

学習塾イング

「イング光明池校移転開校!」11月新入生、リニューアル特典。入学金免除&11月授業料・学習支援費 50%OFF(※先着10名様限定)

学習塾イング

「イング日根野校リニューアルOPEN!」11月新入生、リニューアル特典。入学金免除&11月授業料・学習支援費 50%OFF(※先着11名様限定)

早稲田スクール

10/28:小6受験生対象の第2回「国私立中模試」

早稲田スクール

10/22:小3〜中2対象の第4回「学力判定テスト」

早稲田スクール

10/15:中3対象の第4回「四高模試」

ページトップへ戻る