塾業界コラム

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公設民営が始動! 求められる塾と公教育の連携

公立学校の運営を民間に委託する「公設民営学校」が、大胆な規制緩和を行う限定区域「国家戦略特区」において認められることが正式に決定しました。今回は日本初の試みとなるこの公設民営学校について、山田社長が語ります。

米英では一般的な公設民営が、日本にも

自治体が委託料を払い、民間の予備校や塾、企業、NPO法人などに公立学校の運営を委託する「公設民営」が、2013年10月18日の日本経済再生本部会合において正式に決定しました。

日本初となるこの公設民営学校を開始すれば、公立と同レベルの安い学費で子どもたちに多彩な教育を受けさせることができるようになります。また、塾や予備校などの民間側は自分たちで土地や建物を用意する必要がなくなり、より少ない費用で教育を行えるというメリットがあります。

日本ではようやくスタートしようという公設民営ですが、すでにアメリカやイギリスではごく一般的なのをご存じでしょうか。例えばアメリカには、州や市の許可を得て、民間団体や保護者らが運営する「チャータースクール」という公設民営学校があります。2011年末時点、チャータースクールをはじめとする公設民営学校はアメリカに5714あり、児童・生徒の約3.5%にあたる194万人ほどが通っているといいます。

実は公設民営は小泉政権時代、「郵政民営化」と並ぶ改革の目玉として取り上げられていました。しかし、当時の文部科学省は「民営では倒産のリスクがある」「教育の質が低下するのでは」などの理由から、難色を示したといいます。過去には一度見送られた経緯のある公設民営ですが今回ようやく認可されることとなり、今後は社会にどんな好影響を与えていくのか、注目が集まるところです。

すでに広がっている塾と公教育の連携

公設民営の設置に手を挙げているのが大阪市です。大阪市では国際的な大学入学資格が得られる「国際バカロレア認定の中高一貫校」「英語や理数教育に秀でた中高一貫校」「市立小中学校の数校」などを5年以内に開校したいと考えています。公募の結果「参入可能」と返答のあった14の民間団体から聴き取りを始め、計画を立案しているようです。

同じ大阪の大東市は、民間団体である公益社団法人全国学習塾協会へ委託し、「学力向上ゼミ」という授業をすでにスタートさせています。これは市内2か所にある青少年教育センターの事業として2010年に始まったもので、同協会の会員塾から講師を派遣して小学6年生には算数を、中学生には英語と数学の授業を毎週土曜1時限ずつ実施するものです。現在では対象学年を小4にまで広げ、会場も3つに拡大。テキスト代は別途必要なものの、月謝は小学生が1000円、中学生が2000円と格安のため人気も高く、会場によっては授業が受けられない子どももいるとのことです。

塾と学校が連携している例はほかにもあります。例えば東京都足立区の教育委員会は学力が高く、世帯年収の低い中3生を対象として「足立はばたき塾」という塾を2012年度にスタートさせました。これは進学塾として定評のある早稲田アカデミーの講師が、土曜や夏休みに区の施設を利用して英語と数学を教えるというもの。定員は100人。委託料約2500万円(2013年度)は区が肩代わりし、生徒は無料で授業を受けることができます。

まずは地域や自治体と交流を深めることから

塾と公的機関の連携は地方でも起こっています。これまでは海外の大学へ直接進むケースはほとんどありませんでしたが、第1志望に海外の大学を挙げる生徒が増えたため、岩手県立花巻北高校は2013年12月、海外の大学専門の進学塾を運営するベネッセコーポレーションの社員を招き、「海外進学指導研修会」を開催しました。

こうした一連の動きを東京私塾協同組合の長原昌弘副理事長は「学校側の塾を見る目がずいぶん変わってきた」と話します。三十数年前、都内で塾を開業した長原さんですが、当時は「学校側は塾講師をまともな職業と見なさず、なるべく行かないよう指導する場合も多かった」といいます。

さらに海外でも、日本の教育関連企業は活躍しています。例えば栄光ゼミナールは2013年5月にベトナムのハノイに校舎を開校。日本で授業を見学するなどし、少人数で一人ひとりに目を配る指導法や保護者との面談方法を学んだ現地人講師が、きめ細かい指導を行っています。また、本サイトのグループ企業である学研は2013年12月、同じくベトナムにある公立のクウェ・タン小学校において「科学実験教室」というデモ授業を実施。実験専用の教室や道具が不足する同校から、かなりの評価を得ています。

時代とともに学校側の塾を見る目が変わり、さらには海外への進出機会も増えるなど、塾を取り巻く環境は大きく変化しました。公設民営においてはまだまだ課題も多く、改善されるべき点は多々あると思います。しかし少なくとも塾としては、積極的に公教育の補完を行っていくべきではないでしょうか。

大東市に見られるような講師の派遣、栄光ゼミナールが行ったような指導法の提供、学研が行った「科学実験教室」のようなカリキュラムの実施など、協力できる要素は多分にあるはずです。特に長い年月をかけて各塾が培ってきた「学力向上」に寄せられる期待は大きいでしょう。そうした連携を図るためにも、まずは地域や自治体と交流を深め、さらなる信頼関係を築いていくことが重要だと思われます。

文責:私塾界/全国私塾情報センター 代表取締役社長 山田未知之

プロフィール

山田未知之氏

山田未知之(やまだみちゆき)

私塾界/全国私塾情報センター 代表取締役社長

1977年、埼玉県生まれ。30年超の歴史を誇る塾業界のトップ専門誌『月刊私塾界』を発行する、株式会社私塾界/全国私塾情報センターの代表取締役社長。同誌を創刊した亡父・山田雄司氏の遺志を継ぎ、2012年10月より現職。民間教育のあり方や業界への想い熱く、全国約2,000社の学習塾のサポート役として、経営情報の提供や研修・セミナーを開催している。

全国私塾情報センターオフィシャルサイト http://www.shijyukukai.jp/

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